メンタル・ヘルス研究所日本生産性本部

第10次労働災害防止計画(抜粋)

厚生労働大臣 平成15年3月24日公示

6.労働者の健康確保対策

 労働者の健康確保対策については、特に、産業保健関連機関の連携を強化しつつ、次のような対策を推進する。

(1)職業性疾病予防対策

じん肺の新規有所見者を減少させるため、アーク溶接作業について工学的対策の改善を図り、その導入を促進するとともに、新規有所見者の多発している業種等を重点対象とした粉じん障害防止対策の徹底を図る。また、トンネル建設作業に従事する労働者の粉じんへのばく露を低減するため、「ずい道等建設工事における粉じん対策に関するガイドライン」に基づく対策の徹底を図る。さらに、離職者を含めて、じん肺有所見者に対し、合併する肺がんの発生リスクに応じた健康管理を推進する。
作業環境管理については、個人ばく露量の測定の活用に係る検討を含め、作業の実態に合った測定方法を確立し、屋外作業場における粉じんへのばく露の低減を図る。さらに、作業環境測定結果を活用した効果的、効率的な作業環境管理の手法の確立を図る。防じんマスクについては、その性能の確保を図るため、買取試験を実施する。
腰痛等の減少を図るため、引き続き「職場における腰痛予防対策指針」による腰痛等の予防対策の徹底を図るとともに、人間工学的な観点等も踏まえた指針の見直し等の検討を行う。
VDT作業における健康障害の防止を図るため、「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」の普及・定着を図る。
騒音障害及び振動障害の減少を図るため、騒音障害防止対策及び振動障害防止対策の実効性が確保されるよう見直しを検討し、必要な措置を講じる。
また、さく岩機、ピックハンマー等建設作業用の機器により騒音障害、振動障害が多発している現状に鑑み、機器を使用する事業者が機器の購入に際し低騒音・低振動のものを選択しやすくするため、騒音・振動発生機器について製造者による騒音・振動レベルの表示の導入を図る。
さらに、機械の包括的な安全基準に基づく措置の一環として、騒音・振動発生機器の製造事業者等に対して騒音、振動等の有害要因に係るリスク低減措置の実施、情報の提供等の徹底を図る。
また、電離放射線障害の発生の防止を図るため、被ばくの低減化等電離放射線障害防止対策の徹底を図る。
加えて、熱中症について、適切な予防対策の徹底を図る。

(2)化学物質による健康障害の予防対策 (略)

(3)メンタルヘルス対策

労働者の心の健康確保については、「事業場における労働者の心の健康づくりのため の指針」に基づき、事業者が事業場の状況を踏まえた適切な「心の健康づくり計画」を作成し、その計画に沿ったセルフケア、ラインによるケア等を内容とするメンタルヘルスケアの積極的な推進を図る。また、職場においてうつ病等への偏見をなくし、うつ病等の予防、早期把握とそれに続く適切な治療、職場復帰に結びつけられる職場体制の整備を図るとともに、事業場外資源との効果的な連携を推進する。さらに、心的外傷後ストレス障害(PTSD)への対応方策についても検討する。なお、メンタルヘルス対策の推進に当たっては、プライバシーの保護について特に配慮する。
自殺予防については、「職場の自殺予防マニュアル」の周知を図るとともに、相談体制の確保、産業保健と地域保健の関係機関が連携した自殺防止対策を推進する。また、有効な対策の策定に資するため、引き続き労働者の自殺に関する調査研究を行う。

(4)過重労働による健康障害の防止対策

過重労働による健康障害の予防を的確に進めるため、過重労働となるような長時間の時間外労働の削減や年次有給休暇の取得促進などにより長時間労働を排除するとともに、長時間労働が発生し、疲労が蓄積するおそれがある場合には、産業医や地域産業保健センターの登録医の活用等により、その助言指導に基づく改善や、労働者への面接による保健指導等の健康管理対策の徹底を図る。さらに、過重労働による業務上の疾病が発生した場合の再発防止措置の徹底を図る。

(5)職場における着実な健康確保対策

労働者の心身の健康を確保し、職業性疾病や作業関連疾患を予防するため、産業医、衛生管理者等産業保健スタッフの選任の徹底と専門性の向上を図るとともに、健康診断の実施とその結果に基づく事後措置、職場巡視の実施とその結果に基づく改善措置等の作業関連疾患等の防止対策の一層の推進を図る。
また、産業医その他の産業保健関係者を支援する産業保健推進センター、小規模事業場に対して産業保健サービスを提供する地域産業保健センター等の連携を強化する。
なお、労働者の健康確保対策を効果的に推進するためには、労働者との信頼関係の確立が前提にあることから、健康診断結果等の健康情報等についてプライバシー保護の強化を図る。
以上の内容に加え、次の項目を推進する。

 ア.小規模事業場対策
健康診断の実施率や受診率が低く労働者の有所見率が高い小規模事業場の健康確 保については、地域産業保健センターの活用、小規模事業場産業保健活動支援促進事業(産業医共同選任事業)を推進するとともに、産業保健活動の具体的方法を示し、その活用を図る。

 イ.健康づくり対策
事業場における健康づくり対策の総合的評価を踏まえ、健康づくり手法の改善を図るとともに、事業場等における健康づくり対策に係る目標の設定と評価の明確化及びその計画的な推進等により健康づくりの普及・定着を図る。特に、中小規模事業場については、健康づくりの取組に立ち後れの傾向が見られることから、その普及・定着を促進する。なお、健康増進法の制定を踏まえ、地域保健との連携の強化等を図り、より実効ある健康づくりを推進する。

(6)快適職場づくり対策

労働力人口の高齢化、女性の就業分野の拡大、就業形態の多様化等に対し、すべての労働者にとって働きやすい職場環境の実現を図るため、人間工学的な観点等を踏まえた職場快適化のための手法の開発・普及を図るとともに、事業場が作成する快適職場推進計画を評価する制度に加え、継続的かつ計画的な取組を評価する制度の導入を図る。また、快適職場づくりの一層の普及定着を図るため、快適職場推進計画認定事業場の公表
等を行う。
さらに、WHOのたばこ枠組み条約の動向等を踏まえ、職場における効果的な分煙対策の知見の収集、分煙対策手法の開発・普及等を推進するとともに、受動喫煙の防止対策等を一層の実効性を確保する観点から見直し、その周知を図る。