メンタル・ヘルス研究所日本生産性本部

メンタルヘルスQ&A

質問

 当社ではメンタルヘルス対策を立ててはいるものの継続的な取り組みとしては行っていません。今後自社でどのようにメンタルヘルス対策に取り組めばよいでしょうか?

回答(産業医科大学産業医実務研修センター 森本 英樹)

 一口にメンタルヘルス対策といっても、様々な要素で構成されています。私はメンタルヘルス対策をマラソン大会に例えて説明することがあります。社員全員が42.195kmを完走するためには、@個々がトレーニング(セルフケア)をすること、A上司がふらふらになって走っている部下をチェック(ラインによるケア)すること、B足を痛めた社員に対し保健スタッフがケア(事業場内産業保健スタッフ等によるケア)をすること、C必要に応じて外部の専門家にトレーニング方法や怪我への対応を依頼(事業場外資源によるケア)することが必要になります。
  役職別にメンタルヘルス対策における役割を説明してみたいと思います。経営層は、メンタルヘルスに関する企業としての方針を打ち出す必要がありますが、御社では経営層に十分な認識がありますか。人事部門は、メンタルヘルス対策の具体的なルール・手順作りや社外資源との契約、従業員教育を行う必要があります。どのような対応をすればよいか分からないときには、御社の産業医に相談してください。管理職は部下に対して必要な配慮を実践しなければなりませんが、十分な知識を持っていますか。産業保健スタッフは、実際のメンタル不全者に対して上司及び本人から相談を受けることや、精神科・EAP(従業員支援のためのプログラムを提供する外部機関)などの外部機関の窓口となる必要があります。このようなそれぞれの役割がしっかりと機能するためには、対策全体を衛生委員会など議論する場も必要になります。
  一方、メンタルヘルス対策を目的別に捉えると、ストレスを軽減したり、ストレス対処方法を向上させるなどして一次予防を行うもの、従業員の不調を早期に見いだして早期に対応するといった二次予防、疾病休業からの職場復帰を支援する三次予防があります。
  すでに御社では、ある程度メンタルヘルス対策がなされているようですが、更に発展させるためには現在のメンタルヘルスへの取り組みの弱点はどこか、一度明確にされる必要があります。すなわち、どの役割が弱いのか、どの予防段階の対策が弱いのか、といった評価です。その上で、その弱点を克服するための取り組みを計画してください。その際、産業医が本来の相談相手と思いますが、産業医に職場のメンタルヘルス対策について十分な専門性がない場合には、都道府県ごとに存在する産業保健推進センターに相談してみてください。メンタルヘルスの専門家が相談員として定期的に相談に乗ってくれるはずです。