メンタル・ヘルス研究所日本生産性本部

メンタルヘルスQ&A

質問

 ここ数年、業務量は年々増えているのにスタッフの増員がなく、みんな余裕なく働いています。中にメンタルヘルスの問題を抱える従業員がいるのではないかと心配になるのですが、どのようにしたら早く対応できますか?

回答(産業医科大学 産業医実務研修センター 中本 真理)

 職場でメンタルヘルス対策を行う場合、前号で説明したように疾病の原因を減らす「一次予防」が大切ですが、同時に疾病を早期発見して対応する「二次予防」や、実際に発生した事例への対応である「三次予防」にも焦点を当てることが求められます。
  そのうち二次予防で大切なのは、メンタルヘルス不調の従業員に早く気付くことと、その従業員を専門家に診てもらうよう橋渡しすることです。そのためには、従業員と日常接している管理監督者が、症状が出始めている従業員に気付くことが必要になります。
  特に、管理監督者は部下の日常をよく知っていますので、ささいな変化や違和感といった「今までからのズレ」に気づくことがありますし、欠勤や遅刻などの勤怠問題や業務能率の低下が対応のきっかけになることがあります。具体的には、トイレに席を立つ回数が多くなった、パソコンの前でぼんやりしている、以前は朝早く出社していたのに最近はギリギリに出社するようになった、などの変化です。また能率の低下は、残業時間の増加として表現されることもあります。そして、そのような変化に早期に気付くために、日頃から部下をよく観察してコミュニケーションを取っていることが重要になります。
  次に、従業員の変化に気付いた場合の対応ですが、本人に声をかけて話を聞き、必要であれば専門家に橋渡しを行います。話を聞く場合は、邪魔の入らない静かな場所を確保するのがよいでしょう。その際、率直に自分が心配していることを伝えて、「何か手助けができれば」といった姿勢を見せることが大切です。管理監督者の役割は、メンタルヘルス不調を診断することではありません。自分で判断できない、または自分では扱えない問題と感じた場合には、産業医や看護職などの産業保健スタッフに、また相談ができる専門スタッフが社内にいない場合には、直接医療機関への受診を勧めることも必要になります。
  このような早期発見・早期対応を管理監督者が自信をもって行うためには、研修を実施するなどして、日頃からメンタルヘルスを意識しておく必要があります。特に、具体的な事例を使って討論するなど、実践的な研修が有効であると言われています。
  二次予防は、メンタルヘルス不調者が長期の病欠を余儀なくされるのを防ぐためにとても重要です。職場の労働環境が厳しくなっている今日、どの会社でも必ずメンタルヘルス不調者は存在します。そういう従業員へ適切に対応していくことが、働きやすい職場へとつながっていくと思います。