メンタル・ヘルス研究所日本生産性本部

メンタルヘルスQ&A

質問

 最近メンタルヘルス不調に伴う休職者が数名発生し、他の社員の業務負担が増え困っています。そのためメンタルヘルス対策を行うことになり、管理職教育を行うことになりました。今まで会社としても個人的にもこのような実績・経験がないため、教育の進め方について悩んでいます。アドバイスをお願いします。

回答(産業医科大学 産業医実務研修センター 國木 康久)

  管理職は、部下のストレス原因の調整、ストレスに伴う病気や症状の早期発見、必要に応じた業務配慮やその他のサポートなど、きわめて重要な役割があります。
  はじめに初めてのメンタルヘルス教育における留意事項をまとめます。
1 教育時間は60分(1回のみ)程度を目安とする。(但し会社のニーズによる)
2 メンタルヘルス活動の必要性の啓発を主眼とする。会社・管理職のリスク及びメリットを説明する。
3 受講者が特に専門的な予備知識を必要としない内容にする。参加しやすい環境整備に努める。
4 他に教材を準備しなくてよい構成とする。
5 内容は、疾病管理よりもストレス対策、心身の健康の保持増進に力点をおく。病気の発見(疾病性)よりも、実際に困る問題(事例−例えば遅刻や欠勤回数の多さ、仕事の完成度の低さ等)について取りあげ、原因を探る。
6 専門用語は極力控え、使用する際にも十分な解説を加える。
  以上のような点に注意して、教育プログラムを作成します。以下に具体的な教育内容及び所要時間について記載します。
1 会社としてメンタルヘルス対策に取組む意義(5分)
2 ストレスと健康の関係概説(10分)。「ストレスの蓄積=心の症状」ではなく、ストレスが身体面にでる事もある。
3 ストレス対策での管理者の役割(20分)。職場のコミュニケーションや適正な業務管理、不調者への対応、職場復帰時の役割と人間関係の調整。
4 事例提示と検討(15分)。共に考える機会の設定。
5 質疑応答(10分)。
  特に、管理職の役割の部分では、以下の点を強調すると良いでしょう。
@日常の職場でのコミュニケーションの重要性、A部下をよく観察すること、必要に応じて個別面談などを設定すること、B過重勤務や心身の多大な負荷等がないか確認すること、Bストレスの受け止め方や健康障害への陥りやすさには個人差があることを理解し、仕事の適正配分について、見直す機会を設定すること、C特に高ストレス下におかれる部下へ、業務上の配慮等の支援を怠らぬこと、D必要に応じて、看護職などの専門家と連携をとること、部下の変化(表情・態度、勤務状況等)に気づいた際は、専門家と連携すること、Eプライバシーに対する配慮を十分に行うこと。
  これらを踏まえ、職場にあった教育内容を工夫して下さい。